賢い古民家の選び方⑦ 古民家の耐震について
株式会社なんば建築工房 代表の正田です。
シリーズでお届けする、「賢い古民家の選び方」第七弾です。
全七回に渡ってお届けしてきた、古民家についての連載も今回で最終回となります。
前々回より、古民家の構造についてお伝えをしていますが、最後に古民家の耐震についてご紹介したいと思います。
古民家の耐震について
古民家の調査に行くとよくあるケースが、伝統構法と、昭和の時代に増築された在来工法が混ぜて建てられている混構造という状態です。
昔は防火上・衛生上の問題で、お風呂や厠が建物の外にありましたが、昭和の時代に下水や設備の普及により、古民家にくっつけて水回りや部屋を増築するパターンが多く見られました。
もしかして、みなさんのご実家もそうではないでしょうか?
その場合は建物の揺れ方に特性があるので慎重に建物を見る必要があります。
混構造は、立体混構造(上下で構造が分かれている)、平面混構造がありますが、古民家で多いのは、平面混構造がほとんどです。
古民家=柔構造(揺れて力を逃がす)、現代の家=剛構造(固めて地震に耐える。)とが混ざり揺れ方が違うため判断が難しくなります。一般的な在来工法の場合は壁量という考え方により壁の量が必要で、古民家の場合はまた違います。
このような構造を調査するのが古民家総合鑑定です。
建物の状態を把握し、耐震診断により、机上の数値でなく実際の建物の診断を行います。診断結果を見て、建物の状態を把握して耐震計画を行い、ダンパーの位置や耐震壁の位置などを設計していきます。
専門性が高いため、古民家再生協会では一級建築士が別団体で調査と設計を行っています。
◆古民家の耐震に関することはこちら (一社)日本伝統再築士会
日本の住文化の象徴である古民家を安心・安全に残していきたい。
私たちの知識や経験をもとに古民家が守られていけば幸いです。
未来の子どもたちのために。
全七回の内容、いかがでしたでしょうか。
感想やご質問などあれば、ぜひお気軽にお問い合わせフォームなどからお知らせください。
◆連載「賢い古民家の選び方」
① 古民家とは?
② 古民家の3つの特徴とは?
③ 古民家はなぜ寒い?
④ 古民家はなぜ使いにくい?
⑤ 在来工法と伝統構法の違い
⑥ 伝統構法の特徴
<調査に関すること>