なんば建築工房
スタッフブログ

賢い古民家の選び方⑥ 伝統構法の特徴

株式会社なんば建築工房代表の正田です。
シリーズでお届けする、「賢い古民家の選び方」第六弾です。
前回より、古民家の構造についてお伝えをしていますが、今回は伝統構法の特徴をご紹介したいと思います。

伝統構法の特徴

在来工法と比較して、伝統構法の特徴は4つあります。

①基礎の違い
基礎が玉石や延べ石など、石になっており、その上に建物がのっている構造(石場建て)。
通気性がよく、防腐性、防蟻性に優れるとされる。足元の一部だけを補修することも可能。

②部材の違い
在来工法で見られる、耐震のための筋交いや火打ちという部材をあまり使わず、足元や土台、小屋の梁などが階層的に重なり、建物を支えている。

③強度に対する考え方
木の特性である粘りを活かし、構造躯体が複雑に絡み合い、建物が地震で変形しても元の形に戻ろうとする復元力を発揮できる「総持ち」という考え方で作られている。

④大黒柱
家の中心に大黒柱があり、家全体を支えている。
※6寸(18センチ)以上が大黒柱と言われます

伝統構法の耐震の考え方

このように、様々な点で現代の家とは違う構造となっている、伝統構法の家。
さらに、在来工法と伝統構法では、耐震に対する考え方が根本的に違っています。

在来工法:耐震的(剛構造) 建物全体を固めることで、建物の変形をできるだけ抑える

伝統構法:免振的(柔構造) 揺れに抵抗せず、地震の力をしなやかに逃がす

↓↓↓私のスケッチですがこのようなイメージです!

左が在来工法、右が伝統構法のイメージです。 ※汚くてスミマセン。

そのため、古民家再生では建物の特性を考慮した設計と施工が大切になります。

例えば、鴨居という、襖の上にある、建具の溝が彫ってある横材があります。在来工法の和室では、この鴨居は構造的な意味はもっておらず、建具の開閉のためにあるのですが、古民家の場合は、「差鴨居」という、構造躯体の一部となっています。

頭を打つような低い位置に鴨居がある場合は、低いので切ってほしい!という要望がお施主様から出る場合もありますが、構造躯体である差鴨居は安易に切ってしまってはいけないので、補強も考えながらの施工が必要です。

構造躯体である太い差鴨居

伝統構法の建物の特性(柔構造)を理解した改修が必要になります。
少し難しいお話ですが、このあたりは現地での調査の時などにご説明いたしますので、ご相談ください。

最初は建物の概要を知るうえで

◆木造住宅簡易鑑定(20項目の調査) 税込3.3万円
を受けていただき、本格的に改修工事を行う場合は、詳細調査である

◆古民家総合鑑定(約600項目の調査で、鑑定書作成・耐震診断・床下診断)税込55万円
を受けて適切な古民家再生をしてください。

やはり現在の建物の状況を知ることが古民家再生の第一歩になります。
未来の子どもたちのために、大切な古民家を残していきましょう。

次回はシリーズ最後の投稿になります。
古民家の構造について、もう少しお伝えいたします。