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会長インタビュー

Vol.1 良い家を見極めるためのチェックポイントとは

良い家の絶対条件は、完成後には見えない基礎の施工に手抜きやごまかしのない事。
大工の果たすべき重要な役割を語ります。

四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2007年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。

[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長

いい家を見極めるチェックポイントは様々あると思いますが、代表的なところを教えてください。

最も重要なのは地盤調査です。地盤調査を行い、何メートルで地盤が止まるのか、そこまで杭がしっかりと届いているかが一番。
次に、コンクリートを打設する際に鉄筋が適切に配置されているかを確認します。その後、必要な強度が出るコンクリートを使っているかをチェックします。他にも細かく確認するポイントは多数あります。

コンクリートは種類によって違うのですか?

強度が異なります。建築用では通常、180kg/cm²程度の強度のコンクリートを使います。一方で土木工事などでは、300kg/cm²というより強度の高いものを使用します。建築の場合は180kg/cm²で十分ですが、150kg/cm²や140kg/cm²のように強度を下げてごまかす業者も中にはいます。完成後には見分けがつきにくいので注意が必要です。

そうした手抜きはよくあることですか?

高度成長時代には実際にありましたね。今の時代では、そのような手抜きが発覚すれば大問題になりますが、やはりまだ存在していると思います。 また、建築時には指定された材料やサイズが正しく使われているかを確認する必要があります。例えば柱に大きな節や強度に影響を与える傷がないか、金物が適切に取り付けられているかもチェックが重要です。

柱の欠点とは具体的にどのようなものですか?

大きな節や、強度に影響するような傷などです。地松など、天然の木材には丸みがある場合もありますが、それを欠点と感じるお客様もいます。その辺りは業者側の信用度の問題になりますね。 また、土台を設置する段階で水平がしっかり取れているかも重要です。水平が取れていなければ、家は必ず歪みます。

水平を見極めるにはどうすればよいですか?

それには専用の機械が必要です。家が完成した後に高さが異なることが判明しても、もう修正は不可能です。

それはよく起こる問題なのでしょうか?

そうですね。なので、当社では常用(正社員)の大工を抱えています。一般的な建設会社では、大工は受け取り(外注)契約が多いため、早く作業を終えるほど利益になります。そのため、基礎ができ次第すぐに土台を設置したりとか、床材をダイレクトに構造材へ貼るような合理化が進んでいますね。

ダイレクトに貼るというのは?

土台や2階の床の水平が完全に取れているという前提で、構造材に直接床材を貼る工法です。そのため、土台の水平精度が極めて重要になりますが、早く仕上げたい業者はチェックを省略してしまいがちです。結果として、家の歪みが生じてしまいます。

それは、ビー玉を転がしたりすると…

そうです。転がっていきますよね。窓なども構造体に基づいて水平に設置されるので、元々歪みがあると窓も正しく取り付けられません。そうした手抜きの有無や、細かいチェックをしているかどうかは、完成後してからではわかりません。なので、大工自身が責任を持って確認する体制が必要です。

本来は現場監督が社内検査などでチェックするべきなのでしょうか?

もちろんですが、常用の大工が施工すると、作業をする大工自身が気にするので、必ず確認を行います。実際に仕事をする人が見るくらい確実なことはないですよね。現場監督は常時現場にいるわけではありませんので、実際に作業をする大工が確認をするのが最も確実です。これは全ての職種に言えることです。大工、次に瓦屋、谷樋(たにどい)…

谷樋とは何ですか?

屋根同士が交わる部分に設置するV字型の樋のことです。水を適切に流すために必要なものですが、これを取り付けるのは板金職人の仕事になります。樋の幅や取付方法によって水の跳ね返りなどが変わるため、適切な施工が必要ですが、明確な決まりはないんですよね。

その部分は外注するんでしょうか?

はい、外注です。だから、現場の大工が的確な指示を出すことが重要です。現場監督もそうですが、常駐している大工の方が常に品質や施工方法を確認できるわけですから、大工の役割が非常に重要なんです。

常用の大工だからこそ、しっかりと管理ができるのですね。

そうです。他人事ではなく、自分の作品であるという意識とプライドを持つことで、品質を徹底できます。現場監督よりも大工を育てることが、最終的にコスト面でも効率的になります。