Vol.2 信頼できる工務店選びのポイント

大工と職人の連携が良い家を創る。
信頼できる工務店選びのポイントを語ります。
四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2007年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。
[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長
御社には現場監督はいらっしゃるのですか?
もちろんおります。ただ、現場監督の役割は、重要なポイントでやり方を示したり材料を指示したりする程度です。私自身が現場監督をする際もありますが、基本的には大工にすべてを任せています。例えば板金業者や電気業者への連絡、材料の手配なども、すべて大工自身に任せます。その方が大工の知識が増え、愛着も深まります。自分が指示を出す以上、責任を持って的確な指示を行うようになります。
しかし、まだ慣れていない大工は材料を多く発注しすぎたり、様々な失敗もありますが、いずれ理解するようになります。大工を育てることは非常に重要で、職人教育は他に代えがたいものです。その結果、現場でのクレームが減り、作業の質が高まります。
例えば以前、総社で工事をしていた際に、左官が塀を粗雑に塗ったので厳しく注意しました。その後は丁寧に仕上げてくれましたが、これは現場監督ではなかなか判断が難しいものです。大工や左官のような職人同士なら技術力がすぐ分かるので、迅速に対応できます。クレームも最小限に抑えることができます。
施主様からのご要望も大工が直接聞くのですか?
私に伝える場合もありますし、職人に直接伝えることもあります。職人から報告があれば「対応してあげなさい」と指示をします。職人を育てるというのは良いことばかりです。外注に任せると自分の担当範囲しか見ないため、全体への責任感が薄くなります。
御社のように、ここまで幅広く管理されている会社は少ないのではないでしょうか?
常用の大工を抱える会社自体が珍しいです。多くの会社は外注に任せて利益ばかりを追い求めています。外注に出すということは、仕事の質より利益が第一になります。コストが確定すれば、その後に何が起きようと関係ないのです。安くて腕の良い職人がいればすぐにそちらへ飛びつく、それが今の多くの会社の現状です。
しかし、私はまず技術を徹底的に追求します。その後に、どうやったら利益がついてくるかを考えるんです。技術を優先するか利益を優先するかで、出来上がる仕事の質はまさに天と地ほどの差になります。これだけは頑なに守ってきているつもりです。あえてこれを人前で言うことはないですよ。私が今まで苦労してきたのも、技術へのこだわりを守ってきたから。それだけは絶対に曲げずにきました。
技術追求が利益につながるということですね。
そうです。それで、利益は後からついてきます。技術を認めてくださった方からご依頼をいただくわけですからね。
うちみたいな工務店はたくさんありますよ。しかも、デザインもメンテナンスもしっかり揃ったところが。だからこそ、工務店で建てるのが一番間違いないと思います。ただ、往々に腕の良い工務店ほど、メンテナンスに定期的には来ないものです。それでも、何かあった時は電話一本ですぐ駆けつけてくれる。それは職人として当たり前のことですよね。自分の作ったものの調子が悪いなら、自分で直しに行く。自分の仕事に責任を持っているからです。それが結局一番安くできる。そのような工務店を選ぶべきです。
しかし、工務店の質もさまざまですので、施主様自身も勉強する必要があります。質問をした時に適切な回答が返ってくるか、実際に建てられた家がどうなっているかを確認する必要があります。新築の展示会だけでなく、10年、20年、30年経過した家を見ることが重要です。長期間経過して初めて、本当に質の良い家かどうかが分かります。理想で言えば、展示会では絶対に悪いものは見せないので、町に建っている家を見て、住んでいる方に直接聞くのが一番ですけどね。「あぁ、やめておきなさい!」か、「あぁ、良いですよ!」のどちらかですよ。本当はそれがベスト。
10年、20年という期間がポイントなのですか?
そうですね。20年は経たないと家の良さはわかりません。20年くらい経つとはっきり差が出てきます。本当の家なのかどうか、ただお化粧した家なのか、スッピンの家なのか。20年経つと、床が美しく輝きだす家もあれば、逆に床がシワシワになってしまう家もあります。20年、30年という期間が大事で、自分が本当に求める家はどちらなのか。30年くらい経過した家を見ることが良い判断基準だと思います。