会社案内
会長インタビュー

Vol.4 本当に施主のことを思って作られた家かどうか

理屈に合わなければ施主の要望を断ることも。
本当のお客様本位の家作りとは何かを語ります。

四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2007年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。

[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長

匂いというのは家づくりで大切な要素ですよね。子どもの頃、他人の家に行くと独特な匂いを感じることがありました。

そうですね。人工的な素材を貼った家は、匂いが強く出ますね。今は光触媒など、匂いを吸収するクロスもありますが、やはり自然素材には敵いません。自然素材は五感で感じるものですから。例えば音ひとつとっても、人工素材では響きが強くなりますが、本物の自然素材を使った家では、空気がすっと入ってきて、音も耳に柔らかく届きます。目で感じるもの、耳で聞く音、鼻で感じる匂い、すべて五感で判断してほしいですね。

また、その家に通されたら、椅子に腰掛けるのか、地べたに座るのか、寝転ぶのか、それによっても感じ方は違います。ピンと張り詰めた雰囲気が好きなのか、ゆったりした空間が好きなのか、人によって違います。張り詰めた空間でも、ガラスやステンレス、コンクリート打ちっぱなしなど様々な方法があります。逆にゆったりした空間にも、泥臭い温かみがあるタイプと、几帳面さを持ったタイプがあります。直線を使うか曲線を使うかで雰囲気は大きく変わります。そこまでお話をして、空間提案を作り上げることが大切です。さらに、座ったときの視線の抜け方や視界を遮る扉など、細かなところまで考えると自然と間取りも決まってきます。

空気感の話までされるのですね。

しますよ。展示会に来られたお客様は「匂いが違う」とよくおっしゃいます。私たちが提供する家の良し悪しは、ただ高いか安いかではなく、お客様が求める感覚に合った家かどうかが大切で、その感覚がいくらでできるか、と言う話で。だから、本当は提案の時にも完成イメージを完全に想像していただけるような、匂いも感じられるバーチャルリアリティのようなものがあれば理想的なんですけどね。ただ、うちの場合は丸太があって、垂木があってと色々作り込まないといけないですから、相当難しいですよね。クロスを貼った四角い箱の家であれば簡単ですが、私たちが目指す家づくりはそうではないので、実際には写真などで雰囲気を伝えるしかないんですよね。

他にはチェックポイントはありますか?

あとは小さいことなんですけどね。収納部分の棚の位置に至るまで、しっかり打ち合わせしているかどうかなんて言うのは、収納の戸を開けたらすぐにわかるんですよね。

きちんと打ち合わせしているものとそうでないもの、どう違うのでしょうか?

例えば、決められた一段だけの棚ではなく、ここの戸は棚板が何枚で、その板がこうやって自由に動かせるようにしたい…とか、細かいところまで配慮されている家かどうか。重要なことですよね。

他にも、勝手口のそばに棚が一枚あるだけで、買い物袋を持った状態でも荷物を一旦置いて鍵を開けられますよね。小さいことですが、施主様への配慮が感じられる良い家です。施主様のことを思っているかどうか、そしてそれが理屈に合っているかどうかが大切ですね。お客様がどれほど希望しても、理屈に合わないことは止めるよう伝えなければなければならないんですよ。

施主様が「僕は大黒柱が好きだ、玄関を入ったところに欲しい」と言われることがあります。だけど、「それはお客さん、やっちゃいかん事ですよ」と。大黒柱というのは、本来あるべきところ、つまり力がかかるところに太い柱を入れて、そこに梁がかかって、溶け込んで自然に見えるものです。玄関のような狭い空間のど真ん中に、ただ見せるためだけに柱を立てるのはおかしいでしょう。その柱がどれだけ立派でも梁も何も架かっていないと意味がありません。「これ見よがし」に柱を置くと必ず飽きが来ます。だから、飽きの来るようなことはやめなさい、と私ははっきり伝えるようにしています。施主様が後悔しないように、理屈に合わないことは避けるべきです。