Vol.7 外断熱工法のメリット

外断熱工法の特徴、性能、利点は何か。
外断熱工法を推奨する理由を語ります。
四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2007年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。
[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長
外断熱と内断熱について、それぞれの特徴や御社で行われている工法の違いを教えていただき、どのように考えて選択していけばいいのかお聞かせいただけますか。
外断熱と内断熱にはそれぞれ良い点と悪い点があります。
内断熱は施工が簡単だというメリットがあります。しかし、同じ厚み・同じ材質で考えれば、断熱性能は外断熱のほうが優れていることは明らかです。
一方、外断熱は気密性が高く、断熱性も非常に優れている反面、柱の外側に断熱材を取り付けるため、その厚み分だけ外壁が持ち出されます。その分、施工に手間がかかります。単純に言えば、施工性と手間の違いが大きなポイントになります。
外断熱はズレる可能性もあると聞いたことがありますが…。
その心配は確かにあります。ただ、最近では各メーカーが専用の金物を開発しています。例えば平米あたり60kgまで対応できるビスなどがあり、それを使えば外壁がしっかりと支持されます。また、断熱材と断熱材の間に横桟(補強桟)を入れる方法もあります。これによって外壁の重さを柱に直接伝え、強度を確保しています。
そのあたりを考えると、外断熱のほうが性能面では明らかに優れていると。
性能だけを見れば、間違いなく外断熱が優れています。特に屋根は太陽光の熱射が非常に大きいので、屋根だけでも外断熱にするべきだと思っています。ただ、壁からの熱射量は屋根ほどではないので、壁については内断熱でも十分対応できることがあります。
これは予算や施主さんの要求レベル、また地域特性にもよります。北海道や東北のような寒冷地、沖縄など暑い地域なら話はまた別ですが、私たちがいる瀬戸内の温暖な地域であれば、「絶対に外断熱」という話ではなくて、施主様との話し合いの中で、内断熱が良いという場合もあります。ただし、性能は若干落ちたりはしますが。
断熱材について、この程度のものを使えば安心というような基準はあるのでしょうか?
私はグラスウールやロックウールなど繊維系のものより、硬質ポリウレタン(ウレタンボード)を使用しています。具体的な商品名で言うと、アキレスボードや旭化成のネオマホームなどで、厚さは40mm以上を推奨しています。
材料を入れさえすれば、それで安心というわけではないのですよね?
そうなんです。一番大切なのは断熱材の入れ方、つまり施工方法です。建物の内側面に密着させるのか、外側面に密着させるのか、この密着性が非常に重要です。隙間が生じるとそこから結露が発生してしまいます。
私が板状のボードを使う理由は、建物は基本的に平面的な部分が多く、板状であれば密着性能が高いからです。ロックウールなど繊維系の断熱材だと、どうしても隙間ができたりズレたりするリスクがあります。
施工後にズレることもあるのでしょうか。
外断熱の場合は問題ありませんが、内断熱の場合は柱の内側(仕上げ面側)に密着させることがほぼ不可能です。また、内断熱はコンセントやスイッチの設置で穴を開けるため、そこから冷気が入り、結露の原因になります。ですから内断熱を施工する場合は、外側面に密着させることを徹底する必要があります。
施主側から見ると、なかなかチェックしにくいところですね。
まさにそうです。また、注入タイプの断熱材もありますが、これも見えない部分に流し込むので、詰まってしまって全然入っていない場所が出ることもあります。こういったことから、私は確実性を考えてウレタンボードを選んでいます。
結露というのは、正しく施工しても多少は起きるものでしょうか?
正しく施工すれば、結露は基本的に起きません。結露は温度差が原因ですから、きちんと断熱されていれば温度差が生まれず、通常は結露の心配はないと考えて大丈夫です。