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会長インタビュー

Vol.8 屋根面の効果的な断熱とは

断熱材を使わずに実現する屋根面の断熱とは。
昔ながらの工法にヒントを得た断熱方法について語ります。

四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2007年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。

[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長

家族3人で寝ている部屋だけが結露するんですよ。

それは、結局その部屋だけを暖かくされているから、外との温度差が大きくなることが原因だと思います。おそらく、昔のガラス繊維系やロックウール系の断熱材を使われているのではないかと思います。そのタイプの断熱材は、必ず木や柱、間柱などと密着しないため、どこかに隙間ができます。施工時に重ねてホッチキスで留めることになっていますが、時間が経つとずれてしまいます。

施工するときにずれるのですか?

施工時は良くても、何年か経つうちに自重でずれたり、水分を含むことで断熱材がずれ落ちます。ロックウールは水分を含むと断熱性能が急激に落ち、重くなり、さらにずれるという悪循環になります。

最初は良くても、後から水を含むことによって性能が落ちるわけですね。

そうです。仕上げ材と断熱材の間に隙間があると、どうしても温度差が生じます。

外壁や内側と密着させるというのは?

結局、断熱材と外壁の間に隙間ができると、その隙間に結露が生じるんです。断熱材を壁に密着させれば、そこに空気が入りません。空気があるから水蒸気が結露するため、空気が通らないよう密着させる必要があります。断熱材が内側に密着していれば、断熱材の内部で徐々に温度が下がるため、外壁との温度差がなくなり、外壁の内側では結露が起きません。間に隙間があるのが一番よくないですね。

なるほど、どちらかに密着させる必要があるのですね。

そうです。完全に外断熱、つまり柱の外側で確実に断熱して通気層を設けて空気を流すのが最も良い方法だと思います。

ちなみにロックウール系とウレタン系では、価格差はどのくらいありますか?

40坪ほどの住宅で計算すると…外壁面は約150平米になります。およそ50坪として、100枚の計算になります。ウレタン系で1枚2500円程度(※)ですから、約25万円ですね。一方のグラスウールは、もう何年も使っていないため、正確な価格はわかりません。
※当時の価格

もう何年も前から使われていないのですか?

私はまったく使っていません。以前は使っていました。そのとき壁面はまだ良いのですが、問題は天井でした。天井は下地が走っていますから、隙間なく断熱材を設置することは不可能で、ただ置くだけになってしまいます。熱は簡単に逃げてしまうため、使用をやめました。

それはずいぶん前のお話ですか?

かなり前の話です。その後、屋根面に断熱材を使わず涼しくする方法を模索しました。

それはどうしてですか?

断熱材を使わずに涼しくするためには昔の工法に戻る必要があります。昔は中二階を作り、その空気層が断熱の役割を果たしていました。また、蔵を解体すると、必ず二重構造になっていて、土壁の上に屋根があり、その間の空気層で涼しさを保っていました。その工法で実際に何軒か建築しました。

それは何という工法ですか?

二重屋根や置き屋根工法と呼ばれています。倉敷は蔵が多い土地柄で、蔵を解体すると、大体そうなってます。屋根の土と瓦の間が約30cm空いていて、その空間に常に空気が流れる仕組みになっています。

実際にその工法を試されていかがでしたか?

効果は確かにありました。ただ、屋根を葺く前に土を全て上げて仕上げをするため、工期が長く、雨対策など仮設屋根の設置にも手間やコストがかかりました。そこで外断熱に出会いました。屋根面に外断熱を施し、空気層を設けて瓦を葺くことで、置き屋根工法と同等の効果を得ることができました。実際に小屋裏で仕事をしていても、真夏でも涼しく快適で、その効果を実感しました。

土壁と断熱材を組み合わせたということですか?

はい、土壁で囲い、その上に30cmの空間を設け屋根を作りました。その頃、外断熱が注目され始めた時期で、専門家の勧めで試したところ、置き屋根と同様の温度差を実現できました。その効果には非常に驚きました。

施工の時間も大幅に短縮されたわけですね。

はい、施工時間も大幅に短縮されました。