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会長インタビュー

Vol.9 見直される在来工法

100年単位で長持ちするのはやはり在来木造住宅。
予見する建築業界の未来を語ります。

四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2007年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。

[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長

その置き屋根のコストについてはいかがでしょうか。

置き屋根に土を使う工法の方がコストは高くなります。屋根の上に土を載せる作業は非常に手間がかかりますから。

その作業は左官さんのお仕事になるのでしょうか。

はい、左官の仕事になります。以前そのような施工をした際に、「次は壁に土壁を使用し、その外側にもさらに外断熱を施すように」とのアドバイスをいただきました。試してみたところ、非常に良い結果が得られました。土壁には蓄熱性があり、一度暖まると冷めにくい特徴があります。外側に断熱を施すことで、暖かさが長時間保たれ、夜間も室内に熱を放出し続けることができます。実際、真冬でも室内の温度が11℃以下に下がることがなく、真夏も一度冷えると長時間涼しさが保たれました。さらに気密性も良いため、35坪程度の住宅であればエアコン1台で十分に冷暖房が可能になります。

冬は太陽光がどの高さから差し込み、どこまで届くかが重要で、光が深く差し込むほど部屋が暖まります。逆に夏場は日差しを雨戸や外部カーテンなどで遮る工夫をします。軒を深くすることでも日差しの侵入を防げます。これらの工夫を日常的に行い、機械に依存することなく自然と調和して暮らすことが本当のエコロジーだと考えています。

現在、住宅業界では「環境・共生・循環」がキーワードになっており、大量消費型ではなく、100年から200年サイクルでの住宅づくりが求められています。こうした流れは法的にも後押しされつつあり、住宅ローンの仕組みなども変わっていくでしょう。

パネル工法だったらどうでしょう?

パネル工法やツーバイフォーの住宅は、100年や200年という長期間を考えると難しいでしょう。木材が薄いですし、集成材などは風化しやすい特性があります。一方、在来工法は太い柱を使うため、風化の進行が途中で止まりやすく、長期間持つわけです。大手メーカーも現状では対応が難しく、どうやってPRするか苦慮しているようです。ですから、今こそ在来工法の価値をしっかりと訴求すべきタイミングです。地域の工務店が同じような取り組みを始める中で、最終的な差別化ポイントは左官技術になると私は予測しています。左官技術の自由さ、仕上げの表現力が競争優位性になり、「あの工務店の仕上げは独特だ」という評価につながるでしょう。

改めて在来工法の良さっていうのが見直されるということですね。

在来工法は、間仕切りの自由さや可変性に優れており、今後ますますその良さが見直されると思います。住宅性能表示制度などにおいても、間仕切りの可変性はまだ項目化されていませんが、今後重要な評価基準になってくるはずです。ツーバイフォー工法などの壁に頼った構造では、この可変性を実現するのは難しいでしょう。