会社案内
会長インタビュー

Vol.10 長期耐力に欠かせないメンテナンス性への配慮

住まいを長持ちさせるために定期的なメンテナンスは不可欠。
100年先を見据えた配慮について語ります。

四代目主人・難波 恭一郎のインタビューです。
2007年頃の古い映像ですが、参考資料として公開いたします。
文字起こしは意訳を含みます。ぜひ動画もお楽しみください。

[赤字] インタビュアー
[黒字] 難波会長

現在、性能表示といえば特に耐震性が注目されていますね。

耐震性に関しては、在来工法でも十分に対応可能です。免震や制震を導入するかという違いだけであって、これは一般住宅メーカーも在来工法も同じ条件下にあります。壁量計算などを適切に行えば、同じ強度の住宅を作ることが可能です。ただ、耐震性能はあくまで短期的な強度に関するものであり、100年・200年という長期的な耐久性とは異なる話になります。

薄い鉄骨を使った住宅などは、酸化による劣化が避けられず、長期的には非常に難しいでしょう。そのため、大手メーカーも素材や工法の転換を模索しています。例えば積水ハウスさんは、鉄骨住宅の限界を感じ、シャーウッドという木質系住宅に移行しています。鉄骨を使うにしても、重量鉄骨で高度な防腐処理をしないと、50年程度が限界です。コンクリートも同様で、何らかの特別な処理を施す必要があります。

一方、在来工法は法隆寺に代表されるような伝統があり、15cmほどの太い柱、しかも年輪が密な木材を使用すれば耐久性が非常に高まります。厳しい環境で育った木は年輪が密で腐りにくく、実際、古材を見ても目の詰まった木材ほど状態が良好です。ただし瓦などは50~60年ごとの定期的なメンテナンスが必要になります。法隆寺のように長寿命な建築物も、絶えず補修が行われていますから、補修のしやすさも重要な要素となります。

設備面では、水道や電気配線は定期的に更新が必要で、床下に作業スペースを十分確保することが重要です。しかし現在、多くの住宅では床下空間が非常に狭く、コンクリートで完全に塞がれているケースも見受けられます。これは主にコスト削減を目的としていますが、メンテナンス性が非常に悪くなります。

それは結局コストの問題でそのような施工になるのでしょうか。

そうですね。ただ、床下を高く取ることは、施工性の問題やコストアップの要因になりますが、特に瀬戸内地域のような場所では通風性が確保され、シロアリ被害を防ぐ効果があります。床下の空気の流れを良くすることで湿気を取り除き、シロアリを寄せ付けない環境を作ります。また、床下が高い場合は断熱をしっかり行う必要があります。

現状では、床下の断熱というのは、どこも施工されているのでしょうか。

高気密・高断熱住宅では床下を完全に密閉する基礎断熱が主流ですが、瀬戸内地域ではシロアリの問題があり、この手法には疑問を感じています。むしろ、床下を高くし、断熱処理を施しつつ空気を循環させることで対応することが効果的です。

薬剤を使ったシロアリ駆除もありますよね。

突き詰めて考えれば、薬剤によるシロアリ駆除は、本来は人が暮らす空間にとっては好ましくありません。土台や柱にはヒノキやクリといった防腐・防蟻性能の高い木材を使用し、さらに床下を高くして通気性を確保することで自然に防止する方法を取っています。伝統建築から得た知恵と現代技術を融合させることが、当社の基本的な考え方です。

しかし、多くの住宅はコスト優先で床下を低くしがちです。本来は経済性だけではなく、建物の本質的な目的やお施主様の長期的な利益を考えた家づくりが重要です。